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2022年9月28日 16:39

87. 新型コロナウイルス感染後遺症 体調不良 

 新型コロナウイルス感染症による病態は、経過とともに変化していきます。

 

 ウイルスは体に侵入すると、直接臓器、特に肺や血管にある受容体から細胞内に入り込み、自分のコピーをたくさん作って増えようとします。

 

 一方で体の方は、体温を上げて発熱させ、炎症を起こして、ウイルスを駆逐すべく抵抗します。

ただその激しい戦闘でサイトカインという化学物質が生まれ、これが嵐を巻き起こすため、体内の他の臓器にまで悪影響が及んでしまいます。

 

 さらに二次的に”血栓”という血液の塊があちらこちらにでき”血流が滞る”ようになると、臓器を構成する細胞にまで大きな痛手が負わされてしまいます。

 そして嵐が通り過ぎた後に・・臓器/細胞に荒れた野原が残されるのです。

 これら一連の反応は、体の外からは何も見えず、知らないうちに進行するので、感染当初は軽微な症状しかなくても、後に重症化や遷延化してしまいます。

 もちろんそれは、ウイルスが体内にいようといまいと無関係です。

 

・・・

 私達医療者はこれまでに、高齢者のみならず、40~50歳台のコロナ感染者が救急搬送され集中治療を受けたにも関わらず、残念な結果に終わるケースを経験してきました。

 ですので「コロナ陽性判定をして間もない方が、スーパーのレジに並んでいた、ラーメン屋にいた」とか「翌日普通に会社に行き、うちにはいない」などの報告を受けることもあるのですが、

「なんでもない=自分は健康、治った」ではなく、自宅療養を意識し、医療機関や保健所との連携も大切にしてください。

 

 自宅待機は(1)他者への感染を防ぐ、ことにくわえ(2)自身の体のケア、の双方の意義があるので、反故しないようにしましょう。

 

・・・

 ところで、

やっぱり感染後長々と調子の戻らない方がおられます。

 感染後遺症が1-2年続くというのは、体は荒れた野原からの回復が遅れていることを意味し、当然身体活動や新陳代謝も活発ではありません。

 このような体では、寒(冷え)が目立ちます。

 ご本人も体のどこが悪いのか、明確に言葉にできず「結局、コロナはただの風邪とは違う」と口にされることもしばしばです。

 

・・・

 これに対し、西洋医学ではこれぞという治療薬がみつかっていないので、漢方治療の出番となります。

 まずは『乾姜(かんきょう)』、『附子(ぶし)』という生薬で新陳代謝を賦活することを目指します。

 

 その手立てに私は『乾姜+附子+甘草(かんぞう)』が合わさった「四逆湯(しぎゃくとう)」という基本の薬を思い浮かべ、うまく生かすため生薬を分別して考えます。

 

初めに『乾姜-甘草』

 これを含むお薬に「人参湯(にんじんとう)」があります。これによって、しっかり新陳代謝を上げていきます。

 これには派生薬である「大建中湯(だいけんちゅうとう)」や「苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)」があり、それらにも高い効能が期待できます。

 

次に『乾姜-附子』

 煎じ薬では「乾姜附子湯」を提供できますが、あまり使用しません。

 エキス剤では代用できないので、乾姜を『乾生姜(かんしょうきょう)』に変えた「真武湯(しんぶとう)」を用います。

ただ、乾姜に期待する効能すべてを乾生姜に求められないので、どうしても方意が変わってしまいます。

 

 ・また『乾姜-附子-甘草』

 これは煎じ薬では先に述べた「四逆湯」で提供できます。実際これを処方し観察している方もいます。

 四逆湯: 甘草3.0g、乾姜2.0g、附子(適宜増量)

エキスでは、「人参湯加附子(にんじんとうかぶし)=附子理中湯(ぶしりちゅうとう)」で代用するか、人参湯に真武湯を合わせて用いることになります。

 

冷えと新陳代謝の低下が極まった方に『附子』

 煎じ薬ではたとえば、真武湯に人参を足したような「附子湯:(ぶしとう)」での対応が可能です。

 附子湯: 朮5.0g、茯苓・芍薬各4.0g、人参3.0g、附子 (適宜増量)

 

 このように漢方では、数か月~年単位にわたる重症なコロナ感染後遺症の方でも、体の奥から改善に導くことができます。

まさに東洋医学には、西洋医学に真似のできない“奥義がある”といえるのです。

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