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2022年11月27日 13:05

89. 婦人科疾患に漢方治療

 東洋医学では婦人科疾患のことを「血の道症」といいます。

 現代風に解釈するとそれは、

月経異常、月経前症候群(PMS)、月経困難症、不妊症、更年期不定愁訴障害、不正性器出血、などが相当します。

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 実は古来から、”女性の病気は治療がむずかしい”と言われています。

 たとえば、7~10世紀初めの中国王朝「唐」の医書「備急千金要方(びきゅうせんきんようほう)」には、こう書かれています。

  • 婦人病の処方が色々あるのは、妊娠、出産、崩傷がそれぞれ異なるからである。女性は男性に比べ十倍治療がむずかしい
  • 女人の嗜欲は男子より多く、病になる機会が男子の二倍ある
  • 慈悲、愛憎、嫉妬、憂憤(心配ごと)がつきず、情を抑えることができないため、病根が深くなりやすい
  • したがって、治療をしても好転し難い

 

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 わが国の現代と江戸時代の女性を比較してみると、

(1)月経の始まりは、現代女性の方が、江戸時代の女性よりも早い。

(2)一方で出産の時期は、現代女性の方が遅い。

(3)江戸時代の女性は、早くから出産し子の数も多い。授乳期間が長く続くため、月経再開の機会が少ない。

(4)現代は、子の数が少なく、子を作らない選択も尊重されている。そのため現代女性の月経回数は多い。

 

 現代女性は、多忘な生活スタイルやストレスに満ちた社会にさらされ、月経困難症や子宮内膜症などの疾患も増えているようです。

 

 また両者の生涯を比較すると、

(5)江戸時代の女性平均寿命は45歳

 もしかしたら、更年期障害を経験する機会は少なかったのかもしれません。

(6)一方、令和3年統計調査では、女性の平均寿命は86歳

 現代女性は、更年期のみならず、ポスト更年期~老年期まで人生が長く、その間子供の教育や親の介護、孫の面倒などの負担も少なくありません。

 

 これらから確かに現代女性は、婦人科疾患に悩まされる機会が増え、その治療に手こずるのもうなづけます。

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 女性特有の症状で悩んだ時、まずは婦人科で相談することが優先です。これは内科疾患でも同様ですが、最近の医学で検査や治療法を模索することは大切です。

 しかし悪性疾患の可能性や手術の必要がなく、西洋医学での治療をうけても悩みが解決しない場合は、漢方治療の出番でもあります。

 

 そこで、患者の皆さんにもなじみ深い

 23番「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」

 24番「加味逍遙散(かみしょうようさん)」

 25番「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」

などはお薬の定番といえます。まずはかかりつけの婦人科、内科で相談してみましょう。

 

 ただもしも改善に至らないときは・・

次に漢方専門医のいる病医院をたずねることも一手といえるでしょう。

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