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2023年1月8日 17:58

91. 婦人科疾患に漢方治療 分かりにくいお血

 東洋医学では婦人科疾患のことを「血の道症」といいます。

「血」とは「ち」のことですが、「けつ」と読みます。

  血は、現代では「血液」や「血管」のことですが、東洋医学では“人体を支えるエネルギー(のようなもの)”を指します。

 東洋医学ではまだ血管の存在を知らなかった頃から、気血(きけつ)が全身をめぐる「経脈(けいみゃく)」に関わっていると考えられていました。

 

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 ところで、「血」にゆがみが生じることを「お血(おけつ)」といいます。

「気」は体の”陰陽寒熱”のバランスを整えます。しかし「血」が滞り、「気」のめぐりが阻害されると、身体のバランスは乱れます。結果として慢性的なお血は病気を招きます。

 特に女性は性成熟期や更年期の間、体内の「血」の在り方が劇的に変わるため、身体にもたらされる影響が大きくなります。そのため治療を必要とします。

 

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 複雑な点は、お血には、”分かりやすいもの”と”分かりにくいもの”があることです。

 分かりやすいものは、出血や血管に関連するものです。

 (1)出血                            

 (2)血腫:うちみ、ねんざ、手術の後遺症、痔  

 (3)うっ血、血管拡張:静脈瘤、動脈瘤、黒ずみ

 (4)女性の病気:月経困難症、更年期障害、不妊症

 

 一方で分かりにくいものは、いつの間にかこっそり潜みこみ、気がつきにくいものです。

 (5)慢性の痛みやしびれ

 (6)皮膚病

 (7)経過の長いうつ病

 (8)冷え症

 (9)頑固な便秘

 (10)難治性疾患

 

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 治療は「お血」の内在を意識するところから始まります。

 治療の薬を「駆(く)お血薬」といいますが、なかでも「① 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」と「② 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、はじめに考慮されるものです。

 

 ① 桂枝茯苓丸は”陽証”、つまり熱性の、

② 当帰芍薬散は”陰証”、つまり寒性の体質の方にもちいます。

 まずはこれらを使ってみて病態に変化をみるようなら、たとえ分かりにくくても、お血の内在が示唆されます。

 もし何かの疾患で、治療してもいまいち様子が改善してこないようなら、駆お血薬を重ねてみるのも手でしょう。

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