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2016年1月3日 20:03

7. 「血(けつ)」の考え方

 黄帝内経(こうていだいけい)という2000年前の中国で書かれた医学書があります。それには『人体には、五臓・六腑(ごぞう・ろっぷ)の内臓と、12の経脈(けいみゃく)があり、お互いが連絡しあって、体を維持している』ことが述べられています。

 経絡を流れるのは「気」や「血(けつ)」という人体を支えるエネルギー(のようなもの)です。しかし「血」は現代では「血液」や「血管」に置きかえて考えるほうがわかりやすいといえます。

 

血のゆがみ

さて「血」にゆがみが生じると不調が生まれます。それは、血液や血管には大切な物質がたくさん含まれているからです。そのため、血液がドロドロに変化すると、皮膚が黒ずんだり、内臓の病気が生じたり、女性特有の悩みなどが生じます。また逆に血液が不足すると、顔色が青白くなったり、脱毛、息切れ、物忘れなどが生じます。

それらを「お血」と表現しますが、慢性的なこれらの変化は、病気を招く原因になります。

 

わかりやすい「お血」と、わかりにくい「お血」

お血の病態は、一見してわかりやすいものと、わかりにくいものがあります。わかりやすいお血は、出血や血管に関連するものです。また女性の月経や妊娠に関係しているものもこれに含まれます。

わかりにくいものは、お血が "こっそり" 潜んでいるため、気が付きにくく治すのにひと苦労する病気です。

  

わかりやすい「お血」

(1)出血                 

(2)血腫: うちみ、ねんざ、手術の後遺症、痔  

(3)うっ血、血管拡張: 静脈瘤、動脈瘤、黒ずみ

(4)女性の病気: 生理の悩み、更年期障害、不妊症

 

わかりにくい「お血」

(1)慢性の痛みやしびれ

(2)皮膚病

(3)経過の長いうつ病

(4)冷え症

(5)頑固な便秘

(6)治療の難しい病気

  

お血の治療 

治療は、まずお血の病気であるかを考えます。お薬を治療する薬を「駆(く)お血薬」といいますが、これがぴったりあたると症状や血液検査の数値もびっくりするくらい変化するため、「山が動いた」と感じられることもしばしばです。

 

逆に治療の経過をふりかえったときに始めて、お血が潜んでいたことに気がつかされることもあります。わかりにくいお血は、長患いの陰にまぎれ込んでいるものですが、お薬があうとゆっくりでも驚くほどの効果がみられます。

 

これはこじれた病気に面したとき、単に血をさらさらにするだけの西洋医学の治療と異なり、漢方治療の奥深さを実感できる一面といえます。

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