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2019年3月31日 18:14

45. 検査でみつからない 頭のモヤモヤ

頭のモヤモヤは、経験のある方でないと分かりにくいものです。

 

悩みの深遠な方では、理解されにくいこの混沌とした症状に顔をしかめています。そして外来では、こう表現されます。

・頭の中が、ゴチャゴチャしている

・頭に、もやっと霞がかかっている

・おでこのあたりが、ソワソワせわしない

 

たいていの方は脳外科や神経内科で、脳の検査を済ませています。更年期かもしれないと、男性であれば泌尿器科で、女性であれば婦人科で、治療をうけている方もいます。また精神科や心療内科で、抗うつ剤が処方されている方もいます。

各科対応で解決されている場合は、問題はありません。しかし、"カギとカギ穴"のようにすっきり収まらないこともあり、漢方を求め来院されることもしばしばです。

 

 これは画像検査で白黒はっきりするものではなく、脳のはたらきが関わっているようです。もしかしたら、脳の細胞どうしをつなぐ神経伝達物質、脳内ホルモンの作用にトラブルがあるのかもしれません。

ただそれが脳のどこで、どのように変化しているのか、については分かっていません。そのため緊急的な課題でなければ、様子を見ましょうと片付けられてしまいます。

 

 印象に残った西洋医学の病名は、 

   自閉症スペクトラム

   (アスペルガー症候群、注意欠如多動性障害)

   統合失調症、うつ病

   転換性障害、身体表現性障害

 などでした。

 

これに対して漢方では、柴胡(さいこ)という生薬を用いると、悶々とした感覚が整理されるようです。それについては、拙著「うつに効く!こころの病に漢方薬(現代書林刊)」の中で紹介をしています。そこではお薬によって、

「頭の中のゴチャゴチャした気分が治まり、血がのぼらず、物事に対処できた」

「柴胡の量の加減によって、頭の霞が晴れて、スイッチが入った」

と変化をみたケースをあげています。

 

さらに、釣藤鈎(ちょうとうこう)という生薬を重ね、

「物事を順序だてて説明できるように変わってきた」

「見えるものが平面的なイメージだったが、立体的に解釈できるようになった」

「幻視が減った」

とお話しをいただいくこともあり、興味深いところといえます。生薬は、産地によって質が異なり、得られる効果に差をみるため、煎じ漢方では細かな使いわけが大切となります。

 

もちろん「100%治ります」と、過大な表現はできないのですが、漢方の工夫によって治療のきっかけがつかめれば何より、と思っています。

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