クリニックのご案内診療のご案内フォトギャラリーHOME

2023年4月29日 15:38

94. 婦人科疾患に漢方治療 冷えお血(当帰芍薬散)

 いつも述べていることなのですが、

 健康体を正円形(〇)に例えるなら、病気のゆがみ方には「円から外側にはみ出すようなタイプ」と「内側にへこむようなタイプ」とがあります。

『突出型のゆがみ』は、モノが過剰になっている様子のこと、

『へこみ型のゆがみ』は、モノが足りなくなっていること、です。

 

 モノとは熱や血のイメージで、お血で考える『へこみ型のゆがみ』は、熱分や血水が足りず滞っている状況、冷えびえしている状態です。

 その症状は

・ お腹の違和感や痛み

・ 頭痛、肩こり、腰の痛み、足の痛み

・ 皮膚をアリがはうような感覚

・ 倦怠感

・ 抑うつ

・ 過長月経、過少月経

などが該当します。

 

・・・

 ところで、冷えお血へ用いる漢方薬を「温性の薬方」といいます。

これは熱が不足しゆがんだ調子を、温める方に修正し、正円形(〇)に近づけるものです。

 

 そこでまず思い浮かぶ温性薬といえば「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」です。

これは6つの生薬で構成されています。

 

 ◎血(けつ)を調整する生薬(血剤)に

当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・芍薬(しゃくやく)

 ●水(すい)を調整する生薬(利水剤)に

茯苓(ぶくりょう)・沢潟(たくさしゃ)・朮(じゅつ)が、あてられています。

 〇気(き)を調整する生薬(気剤)に

茯苓(ぶくりょう)が該当しますが、必ずしも強いイメージではありません。

 

 このお薬の特徴は、

①四物湯(しもつとう)という冷え症基本薬から発展したお薬であること、

②五苓散(ごれいさん)というむくみの基本薬が含まれていること、です。

 つまり「当帰芍薬散(の方意)=四物湯 + 五苓散」

 という方程式が成立します。

 

 冷えを自覚している方は、慢性的な運動不足によって代謝が低下しているので、体は冷えてむくみがちです。

その結果、諸々の悩ましい症状が表出している、そんな方に最適なのがこの当帰芍薬散です。

 それに月経に伴う諸々の症状にも調整作用が期待できるため、現場で重宝されているわけです。

Copyright © Wakaba Family Tokiwadaira Medical Clinic. All rights reserved.  無断転載を禁じます.