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2023年8月30日 15:26

98. 婦人科疾患に漢方治療 熱お血4(桃核承気湯)

 以前よりお話ししている通り、熱お血は『血の塊が滞り、熱分がうっ積している状況』のことをいい、

冷えお血は『熱分や血水が足りなくて停滞し、体が冷えびえしている状況』のことをいいます。

 

・・・

 さて、実証の熱お血を解消させる薬に「承気湯類(じょうきとうるい)」があります。 これは、のぼせや、自律神経症・精神症を治す治療薬です。

 

 「承気(じょうき)」とは、体の上の方にたまった気血を「下で承る(うけたまわる)、下の方に伝承させる」という意味です。

 ただし伝達させるのみならず、便として体外に排泄、捨ててしまう作用があります。

 

 自律神経症とは、

 頭痛、めまい、耳鳴り、のぼぜ、動悸、口の乾燥、腰痛、下腹痛、便秘、煩熱(はんねつ)、足冷えなど、

 

 精神症とは、

 興奮、不眠、健忘、狂状(ヒステリー)、譫妄(せんもう)などです。

 

 そして女性の熱お血に用いられる代表的な承気湯類に「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」があります。

 

 薬の構成は

〇気(き)を調整する生薬に

 桂皮(けいひ)

 

◎血(けつ)を調整する生薬には

 主役の生薬 桃仁(とうにん)

が用いられ、これが強力に血の塊、お血を破壊します。

 そして、

 大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)

が血の塊を体外に排泄させ、体をすっきりさせます。

この一連の作用を瀉下(しゃげ)、逐瘀(ちくお)といいます。

・・・

 ところで、これを投与する際の目安として、古人は“特異なお腹の所見“を記しています。

 

「左下腹部に索状の抵抗物を触れ、そこを3本の指でこするとアッとしかめ面で痛がる者に用いる」

 

これを『少腹急結(しょうふくきゅうけつ)』とよんで、強いお血徴候と考えていたのです。

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