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2024年1月21日 21:28

103.婦人科疾患に漢方治療 冷えお血5(十全大補湯)

 このシリーズでは、冷えお血治療の中心に「四物湯(しもつとう)」があり、それから派生した薬があることを説明してきました。

 

 ちなみに“派生薬”とは、根幹に核となる薬をすえ置き、それに枝葉をつけて個性ある薬にあえて変化させたものをいいます。

 したがって“四物湯の派生薬”とは、四物湯を土台に、枝葉に生薬あるいは別の漢方薬を追加し、方意をずらした薬のことです。 

 

 四物湯には、以前話にあげた元気を取り戻すための聖薬「四君子湯(しくんしとう)」をたし合わせた薬があります。それを「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」といいます。西洋医学でいう合剤に該当するというイメージでしょうか。

 

 十全大補湯の名に「十」という数字が入っているので、10個の生薬からなっています。

十全大補湯=

「四物湯:当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)・芍薬(しゃくやく)・地黄(じおう)」 + 

「四君子湯:人参(にんじん)・朮(じゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)」 +

桂皮(けいひ)・黄耆(おうぎ)、となります。

 

 このお薬は、血のめぐりが悪く元気もないという方に、つまり

  • 胃腸虚弱、食欲不振
  • 冷え症
  • 疲労気味、体力低下
  • 脈もお腹も軟弱
  • 皮膚の乾燥、脱毛

の目立つ方に投与されます。また難病の方にも用いられることがあります。

 

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 その十全大補湯には親戚薬があり、例えば「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」があげられます。

 

 人参養栄湯は、十全大補湯に「遠志(おんじ)」「五味子(ごみし)」が足され、“気を調整する生薬”が付加された形となっています。

 そして「抑うつの方には、四君子湯の派生薬である「帰脾湯(きひとう)」が良い」とお話ししましたが、意外にも帰脾湯の構成と人参養栄湯のそれが近似しています。

ですので人参養栄湯は「精神・自律神経の調整も期待できる」ということになります。

 

 いうなれば、

十全大補湯の主治が『体が虚して、四肢倦怠、毛髪脱落、顔色に光沢なく枯れ果て乾燥した方』とすれば、人参養栄湯は、さらに『心悸亢進、抑うつ、不眠症、健忘症』もある方に用いることができるということです。

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 婦人科の対応する年齢層といえば、性成熟期の若年世代から、更年期世代、高齢世代と幅が広いものです。悩みもさまざまです。

そんなときたくさんの派生薬があることは、実に重要な意味を持つのです。

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