こころに悩みが生じた時の漢方治療にはいくつかの方法があります。
前回も述べたように「気」は体全体を流れるため、異常が生じると、体の様々な箇所に”ゆがみ”が生じます。
気のゆがみには、次のようなものがあります。
(1)気虚(ききょ)
(2)気うつ
(3)肝気うっ結
(4)気逆(きぎゃく)
気うつというのは、「気分が晴れない状態」のことです。
精神的に、
〇イライラ
〇抑うつ
〇不安
〇焦燥感
身体的に、
〇頭が重い、のどがつまる
〇胸苦しい、げっぷがでる、動悸がする
〇お腹が張る、ガスがたまる、だるい
などの症状が生じます。
・・・・
気をめぐらせるために、体内で気を動かす生薬を用います。
薬は主に「理気剤(りきざい)」と「安神剤(あんしんざい)」が用意されています。
◎理気剤
理気剤とは、「気」を直接動かす薬です。
主に以下のようなタイプに投与されます。
・不安な人
・沈んでいる人
◎安神剤
安神剤とは、自律神経安定剤のような薬です。
主に以下のようなタイプに投与されます。
・あたふた焦っている人
・ドキドキしている人
・おどおど、びくびくしている人
これらの違いは、
理気剤は気がとどまり沈んでいるような不安に、
安神剤は気に動きのある不安に、
もちいるイメージです。
・・・・
安神剤はおもに、生薬の「柴胡(さいこ)竜骨(りゅうこつ)、牡蛎(ぼれい)、茯苓(ぶくりょう)」で構成されています。
これらは自律神経安定作用を担い、体力のある実証から体力のない虚証まで、生薬を分別して用います。
まず体力のある実証には
①『柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』
生薬は「柴胡、竜骨、牡蠣、茯苓」が含まれます。
体力が中等度の中間証には、
②『柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう』
これには「柴胡、牡蠣」が含まれています。
体力のない虚証には、
③『桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)』
体力に欠けるため、生薬の柴胡が除かれ「竜骨、牡蠣」が中心となっています。
またエキス剤はありませんが、虚証に
④『竜骨湯(りゅうこつとう)』もあります。
生薬は「竜骨、牡蠣、茯苓」が中心です。
体力は見た目の姿形とともに、お腹の診察(腹診)によって判断しています。