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2025年9月28日 14:49

123. こころのトラブルに漢方薬

 複雑な現代社会では、多くの方が不安におちいっています。状況が悪いとメンタルクリニックを訪れ、西洋医学で治療まで受けています。

 調子を取り戻される方もたくさんいる一方で、中に元気を取り戻せず、悩まれている方もいるようです。

 

 当院はたまたま西洋医学と東洋医学の併用治療を得意としているため、そのような相談で来院される方も少なくありません。

 多くはすでにほかの診療内科専門病院を受診されています。ただ効果の実感が少ないのか、漢方によるこころのサポートを求めていらっしゃいます。

 

 では、東洋医学でこころのトラブルを対処することができるのでしょうか?

・・・

 実は人が抱えるこの病については、紀元前後の中国でこう説かれている医書があります。

 まず今から2000年以上前の医書

『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』では、

●古は、病気は祈祷をしたり、病人の気分を変えるだけで治ったが、今の人は病気になると薬や鍼でも容易に治らない

 

●今の人は、社会生活が複雑になって、精神的苦悩が内臓機能を損なわせている

 

●肉体的に無理がたたると、ちょっとした邪氣が入っても、死症になってしまう

 

 ここに”今”とありますが、当然西暦2025年のことではなく、紀元前後のことですから、古くから人はこころを病んでいたことが分かります。

 

 また、これより少し後の時代の医書

『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』には、

◎今の人は、栄勢を競い合い、権力者や富豪に追従し、ただ名利を追い求める

うわべばかり飾り、身を修めることを忘れている

 

◎そんなふうで浮華を競い根本を固めないから、重大な疾患にかかりやすい

 

◎そして病気になると精神力がないため、立ち直れず  病が変じて死者になる

 

◎体を忘れ、物ばかり追いかけてきた結果を嘆き、薬物療法を創始した

 

 このように古い医書に、こころのトラブルに関するたくさんの文言が出てきます。

ですから、お薬もこころの在り方を変える貴重なものがたくさん記されています。

・・・

 こころ、すなわち精神に効かせる薬は、東洋医学の基本的考え方にある「気・血・水」のうち『気』の扱いが重要となってきます。

そのため、次回からこの「気」を意識した漢方の取り扱いについてお話しをさせていただきます。

 

 漢方薬はたしかに華やかさを欠くかもしれません。

でも一見体のトラブルであっても、こころの側からアプローチするといづれも改善させることができるものです。

それこそ、西洋医学にはない、東洋医学の特質ともいえるのです。

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